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会いたくない人 2

今は実家に戻っているが、3年ほど前までは、東京の荒川沿いのアパートで10年近く一人暮らしをしていた。

木造二階建ての四部屋しかないアパートで、隣の一戸建ての家には70代くらいの大家の老夫婦が住んでいた。隣が大家だと知ったのは、不動産屋と賃貸契約を済ませた後だったので、何だか騙されたような気分になったのを覚えている。

アパートと狭い道を挟んだ向かい側の一軒家には四人家族が住んでいて、その家に面した一画が、区で定められたごみの集積場になっていたのだが、アパートに住み始めてすぐに、ごみの出し方や時間について、その家の住人のおばさんと毎回激しく言い争うようになった。

大抵の場合、ごみをきちんと分別していないこちら側に非があったのだが、相手の言い方が気に食わなかったので、こっちも引かずに喧嘩になると、怒鳴り声を聞いた大家のおばあさんが仲裁に入るかたちで双方がなだめられ、最後はこちらが折れざるを得ないことが多かった。

それでも、半年間くらいは向かいの家の住人との口論の日々が続いた。それが、いつからか、ごみ出しについての文句を言ってこなくなったので、相手もとうとうあきらめたかと、しばらくは満足感に浸っていた。

ある朝、会社に出勤するのにアパートを出て、隣の大家の家の前を通り過ぎる時に、昨夜、ごみ置き場に出したはずの未分別のごみが、きちんと分別されて、玄関の脇に隠すように置かれているのが目に入った。それで、ようやく、向かいの住人がうるさく文句を言わなくなったのは、大家のおばあさんが何も言わず、ごみを分別して出し直してくれていたからだと分かった。

大家のおばあさんがごみを出し直してくれているという事実を知って、正直、申し訳ない気持ちにはなったが、それで、きちんとごみを分別して出すようになったかというと、そうではなく、今度はごみを部屋の中に溜め込むようになった。

ごみの大半は、ビールの空き缶で、一日に500ml缶で6本以上は飲んでいたので月にすると200本近く、部屋はあっという間に大量の空き缶とその他いろいろが入り混じったごみ袋の山で一杯になった。数週間から数か月に一度、我慢しきれなくなると、夜中にこっそりとごみを捨てに行くのだが、次の日の朝は、大家のおばあさんと会わなくて済むように、反対側の道を抜けて出勤した。

その後、数年は、普段から大家のおばあさんと鉢合わせしないように注意して行動するようにしていた。それでも、家賃は振込ではなく手渡しということになっていたので、最低でも月に一回は大家のおばあさんとまともに顔を合わせることになった。毎回、ごみの事について聞かれるのではないかと身構えていたが、「今月もありがとう。」としか言われなかった。

そのまま年月が過ぎて、3年前、仕事を辞めてアパートを引き払う時には、部屋のごみは自分ではもはや手に負えない状態になっていた。仕方がないので、業者に依頼して、十万円以上の費用を支払って、家財道具も含めて一切を処分してもらうことにしたが、全てを撤去した後の空っぽの部屋は、長い間蓄積されていたごみのせいで、ひどい有様だった。

その数日後、不動産屋と引き渡しのための立ち会いを終え、鍵を返して、10年近く住んだ部屋を出た後、隣の大家のおばあさんに、「長い間お世話になりました。」と最後の挨拶に行くべきか迷ったが、ごみ出しの件と部屋を汚してしまったことが気になってしまい、何を話したらいいのか分からないからと自分に言い訳をして、結局、会わずにそのまま帰った。

今でも、その時の事を、ふと思い出して、大家のおばあさんに言えば良かったことを考えるのだが、言葉が浮かばないままでいる。

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